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2019.10.23更新

佐藤先生に聞こう! いつかのために今からできる生活習慣

将来、赤ちゃんを産むためには、今の生活習慣が大きくかかわります。今まで続けてきた生活習慣を、妊活を始めてからリセットするのはたいへんです。不規則な生活から健康的な生活にシフトするには、どんなことを心がければいいのでしょうか? 産科婦人科舘出張 佐藤病院の院長で、女性の心と体の健康に取り組む佐藤雄一先生に話をうかがいました。

現代人は栄養不足に注意?

生活習慣は大きく分けて、食事、運動、睡眠の3つの柱があります。その中でも、食事はとても大事です。日本人の若い女性はやせ型で栄養が不足している人が多く見受けられます。栄養不足は、生理不順や無月経の原因の一つになっています。痩せすぎだけではなく、太りすぎもよくありません。カロリーばかりが高くて体によい栄養があまり含まれていない食事をしている可能性があります。これを「エンプティーカロリー」と言います。スナック菓子、ケーキやドーナツなどの甘いお菓子、アルコール飲料などが挙げられます。

普段の生活で疲れやすかったり、元気が出ないのは、栄養が足りていないためです。内科の先生に聞くと、元気がないという人を診察するときは、栄養状態、甲状腺の検査をするそうです。婦人科でも、甲状腺をよくチェックします。子どもがほしいという人を検査すると、5人中1人は甲状腺に異常があります。

甲状腺機能低下症など機能的なものは別として、軽度の甲状腺異常の場合は食生活がよくなかったり、特定の栄養成分が不足していることがよくあります。個々に合わせた栄養のアドバイスができるように、血液データからの「栄養解析」をお勧めしています。朝ごはんを食べない人は、カロリー不足であったり、生理不順であることが多いことは、私たちのデータからも明らかです。

間違ったダイエットは禁物です

痩せようとしてダイエットに励む人がいますが、世の中には間違ったダイエット法が氾濫しています。また、そもそも痩せる必要のない人がほとんどです。理想の体型はBMIスコアと体脂肪率を参考にしましょう。BMIスコアで18.5~25未満が標準体型。体脂肪率は21~27%が標準(-)、28~34%が標準(+)とされています。

BMI値が18.5未満のやせの人がさらにダイエットなどで体重を落とすと、健康にも悪く、妊娠・出産時のトラブルのリスクが増えるので絶対に避けてください。また、体脂肪20%以下の人は、妊娠率の低下や健康上のリスクが増えるのでダイエットをしてはいけません。

※BMIスコア=体重kg ÷ (身長m×身長m)

タンパク質が足りていない!

日本人の女性の多くに栄養欠損がみられ、タンパク質だけでなくビタミン、ミネラルも不足しています。また炭水化物は比較的多く摂っていて糖質過多の傾向です。

妊娠中は特にタンパク質が必要です。赤ちゃんもタンパク質でできていますから、1人分約3kgのタンパク質を体内につくらなければなりません。肉・魚・卵などのたんぱく質をしっかり摂ってほしいです。

また妊娠中は赤ちゃんに優先的に鉄分が供給されるので貧血になりやすいです。鉄分は意識して摂りましょう。亜鉛の不足も健康を維持するための障害となります。

そしてビタミンDも、妊娠前、妊娠中を通じて欠かしたくない栄養素です。ビタミンDは日光浴で作られますが、日焼け止めをしっかりしている女性は特に食事から摂らなければなりません。

葉酸は、妊娠前から必ず摂らなければならない栄養素で、国も摂取を推奨していますが、まだまだその重要性は認識されていないようです。妊娠中だけでなく、生活をしていくうえで絶対に必要な栄養素なので、高齢になっても常に摂ってほしいです。

欠かすことができない栄養素でありながら、食事からだけでは摂り切れない葉酸とビタミンDはサプリメントで摂ってほしい栄養素だと思います。サプリメントで摂る場合は、栄養素単体よりも、ビタミンやミネラルがバランスよく入ったマルチサポートがいいと思います。

運動をして、ぐっすり眠ろう

運動習慣がない人に月経不順が多いことがわかっています。過度な運動をすると酸化ストレスが強くなると言われているのは、その通りですが、よほど過激なトレーニングでもしない限り、やりすぎることはまずありません。近年はNEAT(非運動熱生産)と言って、運動には区分されない、普段の家事や通勤などの体を動かすことでも、結構なカロリー消費になることが知られてきました。姿勢を正しくして歩く、手を振って歩くなど、意識して生活に取り入れていくのがいいと思います。ちなみに、私は診察するときに腹筋に力をいれて姿勢を正すことを心がけています。

忙しかったり、寝つきが悪い、眠りが浅いなど、睡眠不足を感じている人が多いのではないでしょうか。睡眠不足が続くと仕事の効率が落ちたり、体の不調を感じるなどの弊害があります。また、食欲を抑えるホルモンが減るため、食べる量が増えて肥満に繋がります。ほかにも、自律神経のバランスが崩れて、月経不順や高血圧を引き起こす可能性もあるので要注意です。健康のために週50時間の睡眠を確保するように心がけましょう。

 

<参考図書>

『今日から始めるプレコンセプションケア』(佐藤雄一著・ウィズメディカル株式会社刊)

佐藤 雄一(さとう・ゆういち)
産科婦人科舘出張 佐藤病院 院長・佐藤病院グループ 代表
医学博士日本産婦人科学会専門医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本生殖医学会生殖医療専門医、日本抗加齢医学会専門医、日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医、公益財団法人日本体育協会公認スポーツドクターなど、多くの専門医資格を持ち、女性の心身の健康を支援。予防医療の観点から食事や栄養、運動など生活習慣の大切さを指導している。2018年秋、プレコンセプションケアを実践できるフィーカ レディースクリニックを東京日本橋に開設した。
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