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2018.09.26

不妊で悩む前に。「妊活漢方」で妊娠しやすい体づくりをスタート!

国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、不妊ではないかと悩んだ経験がある夫婦は35%で、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある、または現在受けている夫婦は16%。2015年の体外受精件数は424,151件で、51,001人が誕生したと発表されています。これは、赤ちゃんの約20人に1人が体外受精によって生まれたという計算に。

日本人にとって身近な問題といえる不妊に悩む前に、「妊活漢方」をはじめませんか? 今回は、不妊の原因からオススメの漢方まで、詳しくご紹介します。

不妊の原因は何? 西洋医学点と東洋医学の観点の違い

不妊の原因は、男性側、女性側、また両方に原因がある場合があり、その割合はWHO(世界保健機構)の不妊症原因調査によると、男性のみ24%、女性のみ41%、男女とも24%です。これは晩婚化が進み、加齢による体の機能低下により不妊につながる障害が起こりやすくなっているためと推測されています。不妊の原因ははっきりしない部分も多々ありますが、西洋医学的な観点と東洋医学的な観点では、明らかな違いがあります。

まず、西洋医学的な不妊の原因を見てみましょう。

<女性の不妊の原因>
排卵障害
排卵までの過程に異常がおきる疾患で、卵が育たない、育ってもうまく排卵できないなどの症状が起こることで不妊につながります。
卵管性不妊
卵管内の幅が狭くなる卵管狭窄や、卵管が詰まる卵管閉塞などが原因で不妊につながります。
子宮頸管粘液の異常
精子が子宮の卵子まで移動するために必要な頸管粘液が少なくなるなどの症状が起こり、不妊につながります。
子宮内膜症
子宮の内側にしかないはずの子宮内膜が、卵巣や腹膜などの子宮以外の場所で増殖と剥離を繰り返し、痛みを引き起こします。不妊の原因になると言われています。
黄体機能不全などの着床障害
黄体ホルモンの分泌が不足し、排卵後に子宮内膜を妊娠に適した状態に維持できない状態になることで不妊を引き起こします。

<男性の不妊の原因>
造精機能障害(精子トラブル)
精子をつくり出す機能自体に問題が発生する障害でで、不妊の原因になります。
性機能障害
ぼっきが起こらず、性交渉が行えない状態になります。

一方で、不妊の原因を東洋医学の視点で見ると、身体の冷えや肥満、痩せすぎ、栄養の質・量のバランス不良、血流不良、ストレス、胃腸障害、運動不足など、生活習慣や体質に関するポイントがメイン。東洋医学では治癒力や体力、免疫力の低下が、西洋医学的なさまざまな障害を引き起こしひいては不妊につながるという、より根本的な考え方なのです。

妊活に東洋医学的なアプローチ。漢方がオススメな理由とは?

先ほどもお伝えした通り、東洋医学は体自体の治癒力や体力、免疫力を底上げすることで、障害や病気を引き起こさない体を作っていく、または病気を治していくものです。東洋医学では、人の体は、目に見えない人の体を支える原動力となるエネルギー「気」、全身に栄養を与える「血」、食物から水分を消化吸収し体を潤す「水」の3つで構成されていると考えられていて、この3つがバランス良くめぐっていることが大切と考えられています。

そのバランスを整える治療法のひとつが漢方。自然の恵み・生薬で、気・血・水の不足や滞りを解消して、バランスを整え、ゆるやかに妊娠しやすい体を作っていくのです。漢方薬を使って妊活をするメリットは、冷え、むくみ、疲労感、貧血、生理不順、ホルモンバランス、自律神経などの不妊以外の体の不調ごと治療ができるという点。また、体調にあう漢方薬であれば副作用も起こりにくいという特徴もあります。

まずは妊娠しやすい体質に整えたいという人にも、すでに不妊治療に取り組んでいて、西洋医学的な治療を行いながら心身のコンディションを妊娠しやすい状態に整えたい人にも漢方はオススメです。

体質別・オススメの妊活漢方

東洋医学では、気・血・水のバランスで体質を「気虚(キキョ)」「血虚(ケッキョ)」「陰虚(インキョ)」「気滞(キタイ)」「瘀血(オケツ)」「水滞(スイタイ)」の6つに分類しています。今回は、それぞれの体質別にオススメの妊活漢方をご紹介します。

気が不足している「気虚」タイプにオススメの妊活漢方

気虚タイプの特徴 エネルギーである気が不足しているため、疲れやすく倦怠感がある。
冷え性気味。胃腸が弱く、胃もたれや食欲不振、軟便、下痢が起こりやすい。免疫力が低下しがちで風邪をひきやすい。
オススメの妊活漢方 補中益気湯(ホチュウエッキトウ)
【配合生薬】
人参(ニンジン)、蒼朮(ソウジュツ)、黄耆(オウギ)、当帰(トウキ)、陳皮(チンピ)、大棗(タイソウ)、柴胡(サイコ)、甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)、升麻(ショウマ)

血が不足している「血虚」タイプにオススメの妊活漢方

血虚タイプの特徴 栄養素である血が不足しているため、顔色が悪く、皮膚にツヤがない。また、貧血やめまいや、痺れや痙攣が起こりやすい。
抜け毛や白髪が多い傾向も。
オススメの妊活漢方 “産婦人科の三大漢方薬”のひとつ、当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
【配合生薬】
当帰(トウキ)、川芎(センキュウ)、薬(シャクヤク)、茯苓(ブクリョウ)、蒼朮(ソウジュツ)、沢瀉(タクシャ)

水が不足している「陰虚」タイプにオススメの妊活漢方

陰虚タイプの特徴 水が不足しているため、体に潤いがなく、口や皮膚が乾きがち。また体を冷やす水が足りないため、のぼせやほてりが起きる。便秘気味。
オススメの妊活漢方 六味丸(ロクミガン)
【配合生薬】
地黄(ジオウ)、山茱萸(サンシュユ)、山薬(サンヤク)、沢瀉(タクシャ)、茯苓(ブクリョウ)、牡丹皮(ボタンピ)

気のめぐりが悪い「気滞」タイプにオススメの妊活漢方

陰虚タイプの特徴 自律神経が乱れ、イライラしたり、憂鬱感があったりと不安な気持ちに陥りやすい。
偏頭痛やげっぷ、おならが出やすい、便が出ないのに便意が起こるなどの症状も。
オススメの妊活漢方 加味逍遙散(カミショウヨウサン)
【配合生薬】
柴胡(サイコ)、薬(シャクヤク)、当帰(トウキ)、茯苓(ブクリョウ)、蒼朮(ソウジュツ)、山梔子(サンシシ)、牡丹皮(ボタンピ)、甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)、薄荷(ハッカ)

血のめぐりが悪い「瘀血」タイプにオススメの妊活漢方

陰虚タイプの特徴 血のめぐりが悪く、体内に栄養が行き渡らないため、シミ・クマ・肌荒れなどの皮膚トラブルが起こりやすく、体のコリや関節痛、頭痛などが起こりやすい。
オススメの妊活漢方 桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
【配合生薬】
桂皮(ケイヒ)、薬(シャクヤク)、桃仁(トウニン)、茯苓(ブクリョウ)、牡丹皮(ボタンピ)

水のめぐりが悪い「水滞」タイプにオススメの妊活漢方

陰虚タイプの特徴 水分代謝が悪いため、むくみがちで冷えやすく、軟便傾向。ぽっちゃり体型が多く、汗っかき。頭や体がだるく感じやすい。
オススメの妊活漢方 五苓散(ゴレイサン)
【配合生薬】
沢瀉(タクシャ)、猪苓(チョレイ)、蒼朮(ソウジュツ)、茯苓(ブクリョウ)、桂皮(ケイヒ)

漢方は個人個人の体質・症状などによっても使う種類や時期が異なってきますので、漢方治療を真剣に考えている人は、専門の漢方医の診察を受けましょう。

医食同源の考え。身体を温める食事で妊娠体質へ

不妊だけでなく、女性の体にとって「冷え」は天敵。妊活中はとくに、体を冷やさないように心がけてください。そのためには普段の食事にも配慮を。漢方の考え方では、食品は「陰性食品=体を冷やすもの」と「陽性食品=体を温めるもの」「間性食品=体冷やしも温めもしないもの」の3つに分けられます。

体を冷やす陰性食品

色味の特徴 青、白、緑、藍色といった青系
収穫時期や地域の特徴 夏が旬の食品。また熱帯地域など温かい地域で収穫される食品。水分や甘みが多い食品が多い。
食品例 緑茶、麦茶、コーヒー、牛乳、ビール、ウイスキー、白砂糖、きゅうり、レタス、ナス、トマト、マンゴー、クリーム、バター、肉の脂身など

体を温める陽性食品

色味の特徴 赤、黒、橙などの濃い色、暖色系
収穫時期や地域の特徴 冬が旬の食品。また寒い地域で収穫される食品。
食品例 紅茶、根菜類(ニンジン、大根、ゴボウ、里芋、レンコン、玉ねぎなど)醗酵製品(納豆、味噌、しょうゆ、梅ぼし、お漬物など)。黒い物(黒ゴマ、黒豆、ひじき、ワカメ、コンブ、のりなど)、薬味(生姜、ねぎ、にんにくなど)

冷やしも温めもしない間性食品

色味の特徴 黄色系
その他の特徴 イモ類や穀物など主食、炭水化物が多い。
食品例 玄米、あわ、ひえ、蕎麦、かぼちゃ、里芋、小豆、納豆など

妊活中は基本、陽性食品中心の食生活を心がけましょう。体を冷やす陰性の食品を食べるときは、陽性のものと一緒に組み合わせるのがポイントです。

妊活中は「葉酸」の摂取も心がけて

妊活をはじめたら、意識して摂りたい成分が「葉酸」。葉酸とは、水溶性のビタミンの一種で、厚生労働省が妊娠1ヶ月前からの摂取を推奨している成分です。

葉酸は緑黄色野菜や豆類など食物に含まれていますが、水溶性で熱などにも弱く、体内吸収率も悪く、食物からだけでは妊娠初期に必要な摂取量をとることは難しいという問題があります。

そのため厚生労働省は妊娠を望んでいる女性は、食事に加えてサプリメントによる葉酸の摂取を推奨しています。漢方で妊娠しやすい体づくりを行い、妊娠した時のために葉酸をとっておく。これが妊活の第一歩といえるでしょう。

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