
今、たくさんの種類のサプリメントが売られています。機能性、原材料、形状などもさまざま。薬局・ドラッグストア、コンビニ、生活雑貨店、通信販売など、買い方もいろいろあります。目にする情報も多く、何をどう選んでいいのか迷ってしまいますね。選び方のヒントを薬学博士の井手口直子先生に聞いてみました。
自分に合うものをバランスよく
栄養を中心とした健康管理が見直され、サプリメント市場が拡大しています。みなさんも何かしらのサプリメントを使用しているのではないでしょうか。サプリメントは必要な栄養素を補うという考え方で取り入れるものです。だからといって、一種類を大量に摂ればいいわけではありません。以前、「○○だけダイエット」のような極端なダイエットが流行ったこともありますが、○○だけというのはそもそも不自然です。あくまでも栄養素なのでバランスよく摂ってほしいですね。
サプリメントは自分の好みで選んでも問題はありません。私も、いろいろなサプリメントを試しながら使用しています。ただ、自分に合っているかどうかは確かめて使用してほしいと思います。栄養補助食品といっても、自分の体質に合わないものや、併用して一緒に摂ってはいけない成分もあります。専門的な内容は、薬剤師に相談するといいでしょう。
一番は品質で選ぶ
健康食品・サプリメントは自分のからだに入れるもの。一番に注意したいのが品質です。品質は安全性にも関わります。値段が高ければ、品質がよいとは限りません。品質管理を徹底しているブランドの商品を選ぶといいでしょう。製造プロセスで品質をチェックをして、検査結果として安全性に関する情報を開示していること。つまり、信頼できるメーカーの商品を選ぶということになります。
天然素材だから安心とは限りません。体質に合わなければ、発疹や肝障害などのアレルギーを引き起こすものもあります。特に、病中、高齢者、妊産婦、乳児・小児は注意が必要です。また、素材そのものに肝毒性があるものは、大量摂取によって炎症を引き起こしやすくなります。品質チェックされている商品の適量使用を心がけましょう。サプリメントの形状もさまざまです。錠剤は固めるために何かしらの添加物が入っていますが、飲みやすさも大事。そこは、自分なりの基準で判断して大丈夫です。
定期購入する前に、まずお試し
海外産・国内産のサプリメント、どちらが安心できるかは一概には言えません。ただ、個人輸入をしてみるとトラブルがあったときに相談窓口がないことがあります。また、サプリメント・健康食品をネットで購入したとき、自動的に定期購入の契約になり、途中解約したくても期間満了までできないケースが見受けられます。定期購入は割安でお得感があり、確実に届けてもらえるメリットがありますが、自分に合わないときや必要ないなと思っても、すぐに解約できなかったり、解約に手間がかかることが多々あります。まず一度、試してから考えるといいかもしれません。あまり短期間の使用で自分に合っているかどうか分かりませんので、1カ月は継続して変化を見てみましょう。
すでにサプリメントをたくさん使用しているので種類を減らしたいときも、定期購入を一度ストップして検討してみるといいかもしれません。サプリメントをたくさん使用していると、どのサプリメントが本当に自分に必要で、どれが不要なのか分からなくなることがあります。そのようなときは、一種類ずつ使って様子をみてください。
きちんとアドバイスできる人から買う
メリットも多いけれどすべての人に安全とは言えないサプリメント。品質や原材料に関する根拠のある情報を把握して、正しくアドバイスできる人から買うのが安心です。使用する人の体質に合うものを選定するためには、医学的な知識も必要です。医薬品との飲み合わせ、成分の過剰摂取のチェックもできる薬剤師に相談すると適切なアドバイスをしてくれるでしょう。薬局やドラッグストアで実際の商品を見くらべながら、対面で話ができるのも安心ですね。

帝京平成大学薬学部教授。薬学博士。
帝京大学薬学部薬学科卒業後、望星薬局勤務を経て、新医療教育企画(現・新医療総合研究所)を設立、現在は顧問を務める。日本大学薬学部専任講師を経て2010年より帝京平成大学准教授、2013年より現職。所属学会は、日本ファーマシューティカルコミュニケーション学会、日本地域薬局薬学会、日本カウンセリング学会ほか。近著に『基礎から学ぶ行動科学理論とその技法』(薬事日報社/共著)。