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産婦人科医にきく 女性のセルフメディケーション 将来を見据えた健康管理からはじまる、女性のからだづくり

「セルフメディケーション」という言葉をご存じですか。軽い病気やけがは市販の医薬品を使って自分で治療するという意味もありますが、もっと広く、自分で自分の健康を管理して病気を予防する取り組みのことを指しています。でも、何から始めたらいいのでしょう? 医師の立場からみたセルフメディケーションの考え方を、産婦人科専門医の俵史子先生に伺いました。

正しいセルフメディケーションは、専門家のアドバイスと自己管理から

近年、健康意識の高まりもあって「セルフメディケーション」という言葉が浸透し始めてきました。WHO(世界保健機関)の定義によると、セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度の身体の不調は自分で手当てすること」を言います。そんなことできるのかしらと、難しく考える必要はありません。日頃から自分自身の健康管理をして、からだに不調や健康の不安を感じたときは市販薬を飲むなどして早めに改善させましょうということです。そのためには、正しい医療や医薬品の知識を身につけることが必要です。医師や薬剤師など、医療従事者のアドバイスを受けることも大切だと思います。

不妊治療とセルフメディケーション
早いうちから できることから

私は不妊治療を専門としていますが、そこでもセルフメディケーションの考え方は必要だと感じています。患者さんから話を聞くと、不妊治療を受けなくてもいいように、やっておけることはたくさんあっただろうと思うことがあります。また、不妊治療中はベースアップ(身体づくり)も大事ですが、それもまた治療を受ける前から積み重ねておけることはたくさんあります。健康の大切さは40代、50代になると気がつきますが、若いうちはなかなか自分ごととして考えられないのかもしれません。子どもがほしいと思うようになる前に、将来の妊娠や加齢を見据えて健康を管理していくことは大事です。特に妊娠するための身体づくりを始めるのは、早ければ早いほどいいと言えます。生理が始まる10代から生活習慣に気をつけるようにしたいですね。

変化の気づきが改善の第一歩
生活を見直し、セルフチェックを習慣に

健康管理といわれても、何をすればいいのかと思う方もいるかもしれません。まず、日頃の食事、運動、睡眠、ストレスなど、生活習慣や環境を見直してみるといいでしょう。次に、からだの変化に気づくことです。セルフチェックを習慣づけるといいでしょう。たとえば、毎日、体重計に乗るのもそのひとつです。女性は痩せすぎていても、体重が多すぎても、妊娠しにくいことがわかっています。自分のベストの体重から増えた・減ったというのは、何かしらの不調のサインかもしれません。健康診断やがんなどの検診も受けたほうがいいでしょう。自覚症状があっても健診・検診で異常がなかったり、逆に健診・検診で異常があるのに自覚症状がない場合もあります。東洋医学では、このような病気ではないけれど病気に向かっている状態を「未病」と言います。この段階で適切な方法で改善させることも、セルフメディケーションの大きな目的です。

女性ならではのバイタルサインで健康チェック-月経周期と基礎体温-

バイタルサインとは、医学用語で生命兆候のことです。脈拍、体温、血圧、呼吸などのバイタルサインは健康管理のデータとしても有効です。
女性の場合、健康管理で最も目安になるのは月経です。月経の周期が長くなっていたり、短くなっていたり、またそれまでなかった生理痛を感じるようになるなど、変化に気づい
たら医師に相談しましょう。診察では月経周期と基礎体温でだいたいの状態がわかります。
また、皮膚のトラブル(できものができる)、消化器系の症状(便秘や下痢)も女性がやじやすい不調のサインだと思います。
女性ならではのバイタルサインとしていくつかの項目が挙げられます。これらの数値や状態がいつもと違うときは何かしらの不調の兆候かもしれません。

<女性ならではのバイタルサイン>
・月経周期
・月経期間
・経血量
・生理痛
・基礎体温
・血圧
・体重

婦人科は女性の味方
気軽に相談して大切なからだを守ろう

セルフメディケーションと言っても、すべて自分で治療しようとするのはかえって危険です。からだの不調や健康の不安を感じたら、医師や薬剤師など医療従事者相談したほうがいいでしょう。なんとなくからだの調子がよくないけれど、具体的にどこが悪いのかわからず、何科の病院に行ったらいいのかわからないときがありますよね。女性なら迷わず婦人科に行くといいでしょう。もし婦人科領域の病気でなくても、内科などの適切な病院への橋渡しをしてくれます。今後、セルフメディケーションがさらに浸透していくと、アメリカの家庭医のように、子どもから高齢者までのさまざまな健康問題について気軽に相談できる総合診療科が、日本でも増えてくるかもしれませんね。

俵 史子 先生
俵IVFクリニック 院長
産婦人科専門医・生殖医療専門医
国立大学法人浜松医科大学臨床准教授、非常勤講師
国立大学法人浜松医科大学卒業、静岡・愛知県内の総合病院産婦人科に勤務。主に不妊治療に携わる。2007年に俵史子IVFクリニックを開院、2012年に専門性を高めた不妊治療専門クリニックを目指し医療法人 俵IVFクリニックを設立。日本産婦人科学会認定ヘルスケアアドバイザー、日本産婦人科学会産婦人科指導医として後世の育成にも力を入れている。学会発表、講演多数。
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