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卵子の質を低下させない4つの生活改善

卵子の数は胎児のときが700万個と最も多く、生れてくるときには100万個くらいまでに減り、その後は排卵とともに減り続けます。卵子の残数を表す指標が「卵巣年齢」です。しかし、大切なのは残数よりも、卵子の質。そこには、生活習慣が少なからず影響しています。

卵子の数は減り続ける

卵子は排卵とともに減り続け、新たに作られることはありません。思春期には20~30万個、25歳で10万個、35歳では5万個まで減り、閉経時には0個に近づきます。残りの卵子の数を表す「卵巣年齢」は「AMH検査」で調べることができます。AMHとは、卵包から分泌されているアンチミューラリアンホルモンのことです。AMH値が高いほど、卵子の数が多く、卵巣年齢が若いということになります。しかし、AMH値は決して実年齢と相関していません。同年齢でもAMH値が高い人もいれば低い人もいます。個人差が大きいため「正常値」を設定することはできませんが、卵巣予備能を判断する指標にはなるので、将来、子どもを産みたいと考えている人は、妊娠時期の目安にするといいでしょう。  

 

卵子の数は増えないため、AMH値を改善することはできません。だから、妊娠力を維持するには、卵子の質の低下=老化を防ぐことが大切なのです。特に体脂肪率が低い「やせ」の女性、過度なダイエットをしている人は、卵子の数が減少傾向にあるので、生活習慣を見直してみましょう。(参考①)

卵子の老化を防ぐポイントとは

卵子の老化を防ぐために見直したい生活習慣は、食事、睡眠、運動、禁煙の4つです。

 

【1】栄養バランスのよい食事

「バランスのよい食事」は健康づくりの基本とよく言われますが、具体的に何をどれだけ食べたらいいのでしょうか? その目安になるのが、厚生労働省と農林水産省が2005年に決定した「食事バランスガイド」です。1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいか、食事の望ましい組み合わせとおよその量をコマの絵で表しています。コマは5つ料理グループ(上から順に多い)で表現され、軸は「水・お茶」、単位は1つ分、2つ分の「つ」です。  

 

主食(ごはん、パン、麺)=5~7つ

副菜(野菜、きのこ、いも、海藻)=5~6つ

主菜(肉、魚、卵、大豆)=3~5つ

牛乳・乳製品=2つ

果物=2つ  

 

夕食はボリュームがあっても、油を使う料理を少なくするとエネルギーを抑えることができます。脂質の少ない白飯をしっかり、副菜をたっぷり、主菜をほどほどに組み合わせて食べるとバランスのよいコマになります。食後のデザートには抗酸化作用のある旬の果物がおすすめです。(以上、参考②③)  

 

体を老化させる原因として活性酸素の発生が挙げられます。活性酸素を増やす原因には、大気汚染、喫煙、電磁波、ストレス、過度な飲酒などがあります。抗酸化作用のある食品を取り入れることを心がけましょう。食事には、ビタミンA・C・Eなどの抗酸化作用が高い栄養素が含まれた緑黄色野菜や果物を取り入れるといいでしょう。

 

【2】睡眠は週50時間をキープ

 

現代女性は睡眠が不足しがちですが、健康のためには週50時間を確保するのが理想的です。1日7時間を目安に、前日は寝不足だと感じたら長めに睡眠をとったり、休みの日に寝だめするのもOK。週単位で調整しましょう。夜間に脳から分泌されるホルモンのメラトニンは、眠りを促して睡眠・覚醒のリズムを整えるほか、体のサビを予防する抗酸化作用があることも知られています。  

 

眠りは量だけでなく質も大切です。新陳代謝を促す成長ホルモンが多く分泌される午後10時~午前2時に眠っていることが理想的。夜ぐっすり眠るために、寝る数時間前はカフェインの摂取を控える、スマホやパソコンを控える、日中は意識して体を動かすことなどを心がけましょう。体内の温度が上がると寝つきが悪くなるので、食事、入浴、運動、飲酒は就寝の3時間前までに済ませるのが理想です。  

 

【3】血流をよくする適度な運動

卵巣に栄養が送られるためには血流をよくすることが大切。常に冷えを感じている人は、筋肉量を増やして基礎代謝をアップさせる運動をするといいでしょう。下半身の血行をよくする有酸素運動として30分以上のウォーキングが有効。ヨガやストレッチにはリラックス効果もあります。  

 

【4】タバコの煙を吸わない

タバコの煙には体内で活性酸素を生産する有害物質が大量に含まれています。喫煙は卵子の老化を促進し、非喫煙者とくらべて喫煙者は閉経の年齢も平均5~10年早いというデータもあります。周囲の人が吐きだした煙を吸う「受動喫煙」や部屋のカーテンや服に染みついた有害物質による三次喫煙も危険です。パートナーとともに禁煙し、タバコの煙に近づかないように気をつけましょう。  

 

<参考図書・URL>

①『今日から始めるプレコンセプションケア』(佐藤雄一著・ウィズメディカル刊)

②農林水産省 みんなの食育「食事バランスガイドとは」を編集して作成。

https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/about/

③農林水産省 みんなの食育「世代・ライフスタイル世代別トピック 女性編」を編集して作成。

https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics3.html