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2019.02.27

栄養のトレンドをチェック!

サプリメントをはじめ、アサイーやココナッツオイルなどのスーパーフード。そして、糖質コントロール、ヴィーガン(※1)やグルテンフリー(※2)、マクロビオティック(※3)などのダイエット方法まで。健康情報のなかでも食事・栄養は、ライフスタイルにもつながる関心ごとになっています。オーソモレキュラー栄養療法のように医学的にも栄養の研究が進められてます。今回は、気になる栄養のトレンドを、医学博士の井手口直子先生にうかがいました。

※ヴィーガン=絶対菜食。動物製品を使用しないライフスタイル。
※グルテンフリー=小麦をはじめとした穀物のたんぱく質の主成分であるグルテンを除去した食事。
※マクロビオティック=玄米をはじめとした穀物を主食に野菜、豆、海藻を中心に組み立てた食事法。

オーソモレキュラー栄養療法ってなに?

「オーソモレキュラー」という用語を聞いたことがありますか。ギリシャ語で「正しい」を意味する「オーソ(Oorth)」と分子を意味する「モレキュラー(Molecular)」を組み合わせた単語で、分子レベルで最適な量の栄養を投与して病気の治療・予防を行うことを言います。オーソモレキュラー栄養療法とは、ビタミンやミネラル等の栄養素を正しく摂り入れることで、病気の予防や治療を行う医療。アメリカ・カナダを中心に広がり、今では世界中の大学や医療機関で研究・実践されています。私も一般社団法人日本オーソモレキュラー医学会の理事を務めています。

オーソモレキュラー栄養法は、さまざまな適応症ごとに治療アプローチがあり、主にガン、認知症、糖尿病、うつ病などの内科系の疾患に摂り入れられています。積極的に予防・治療を行う場合は、食事に加えてサプリメントや点滴で栄養を補充します。その理由は、個人の体質や体調に合わせて栄養素の種類や量をコントロールできるからなのです。野菜に含まれる栄養素が昔とくらべて減少していることも挙げられます。さらに、食事で大量の栄養素を取ろうとすると、からだに不要な添加物や余分な糖質、アレルギー源なども摂取されることになるからです。オーソモレキュラー栄養法は専門医が患者さんの状態を把握しながら行いますが、セルフメディケーションの知識として情報を得ておくといいですね。

健康意識が高い人が注目するアダプトゲンとは?

アダプトゲンについて述べる前に、まず、ホメオスタシスとは何かを知っておきましょう。ホメオスタシスは日本語で生体恒常性と訳され、生体が外的および内的環境の変化を受けても、生理的状態などを常に一定範囲に保つことおよびその仕組みです。主に自律神経と内分泌系によって維持されています。たとえば、血圧や血糖値は一定の範囲で保たれていますが、ホメオスタシス(生体恒常性)が破綻すると高血圧や糖尿病などを招きます。

そして、アダプトゲンとは、からだに負担をかけずにホメオスタシス(生体恒常性)を整える天然のハーブのこと。高酸素作用が非常に高く、ホルモンや免疫システムのバランスを保ち、精神的なストレスや疲労回復にも効果があるとされています。漢方で使用される高麗人参や霊芝のほか、スーパーフードとして評価されているモリンガなどにも含まれています。アダプトゲンの「adapt」は「適応する」という意味。つまりストレスへの適応力を高めてくれるものがアダプトゲンなのです。古来から東洋医学やアーユルヴェーダ(インドの伝統医学)に利用されていたハーブが、今、ニューヨーク発のヘルスケアトレンドとして注目されています。

プロも見ている健康食品情報サイト

いろいろな食品や成分が次々と話題になり、TVや雑誌などのメディアで「○○によい」と発信されたり、インターネット上でもさまざまな情報が飛び交っています。なかには、広告としての情報も多く、何をどこまで信用していいのかわかならくなることがありますね。そのなかで、薬剤師をはじめ健康食品やサプリメントのアドバイスをする側の人が見ているサイトがあります。それは、「健康食品」の安全性・有効性情報(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)です。

このサイトの主な目的は、食品・食品成分に関する正しい情報の提供、健全な食生活の推進、「健康食品」が関連した健康被害の防止です。そのコンテンツのひとつ「健康食品」の素材情報データベースには、最新の学術論文をもとに、五十音順にさまざまな成分・素材の安全性・有効性に関する情報が記載されています。エビデンスに基づいた健康食品の情報が知りたいと思ったらこのサイトを見てみるのもいいかもしれません。情報をどう受け止めて、サプリメントや健康食品をどのように食生活に取り入れるかは自分次第です。専門家のアドバイスがほしいときは、薬局やドラッグストアの薬剤師に聞いてみるといいでしょう。

井手口 直子 先生
帝京平成大学薬学部教授。薬学博士。
帝京大学薬学部薬学科卒業後、望星薬局勤務を経て、新医療教育企画(現・新医療総合研究所)を設立、現在は顧問を務める。日本大学薬学部専任講師を経て2010年より帝京平成大学准教授、2013年より現職。所属学会は、日本ファーマシューティカルコミュニケーション学会、日本地域薬局薬学会、日本カウンセリング学会ほか。近著に『基礎から学ぶ行動科学理論とその技法』(薬事日報社/共著)。
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