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2019.01.23

行きつけ薬局・かかりつけ薬剤師はヘルスケアの頼れる味方

セルフメディケーションと言われても、自分一人で健康管理をするのはどうも不安。風邪のひきはじめなど、症状がひどくなる前に自分で治したいと思うこともありますよね。そんなとき、気軽に相談できるのが、街の薬局やドラッグストアの薬剤師です。だけど薬剤師にどこまで頼れるの? ファーマシューティカルコミュニケーションを専門とする薬学博士の井手口直子先生に伺いました。

行きつけ薬局をつくりませんか?

ご存じの方も多いと思いますが、2016年4月1日より「健康サポート薬局」の認定がスタートしました。薬に関するあらゆる相談に応じてくれるだけでなく、薬以外の健康に関する相談ができる薬局で、厚生労働大臣が定める一定の基準を満たしていることが「健康サポート薬局」の条件です。一般用医薬品や健康食品・サプリメントのことはもちろん、食事や栄養、介護のことなども気軽に相談することができます。

病院やクリニックは病気でなければ行かない場所ですが、ドラッグストアを含めた健康サポート薬局は、健康用品やサプリメントなどの商品もあって、病気でなくても気軽に入ることができます。処方せんがあるときや一般医薬品を買うときはもちろん、普段から健康の相談をするなどして、なじみの薬剤師をつくっておくといいですね。

かかりつけ薬剤師を持つメリット①

「健康サポート薬局」の認定とあわせて、「かかりつけ薬剤師」の制度がスタートしました。担当してくれる薬剤師を指名する制度で、患者さんが同意書にサインすることが必要です。そうすることによって、服用している処方薬や一般医薬品を情報を一元化して、24時間対応で安全管理をしてくれるのが「かかりつけ薬剤師」です。

「かかりつけ薬剤師」は、薬歴、使用しているサプリメント、ご家族のことも把握して、治療や健康に関するアドバイスをしてくれます。その人を普段から見ていて、おかしいと思ったとき、また一般医薬品では症状が改善しないときには、病院での受診を勧めてくれます。そこで処方された薬の飲み合わせや重複などもチェックして、薬が体質に合う・合わないも見てくれるので安全に服用することができます。

かかりつけ薬剤師を持つメリット②

「かかりつけ薬剤師」は、地域医療とも連携しています。病院・クリニックはもちろん、訪問看護ステーション、地域包括ケアセンター、ケアマネージャーとも連携して、ライフステージに合わせたサポートをしてくれます。たとえば、入院したときは、どんな医療を受けたのかという情報が薬剤師に入り、退院後も継続的に薬による治療の安全性を見てくれます。また、高齢などで外出が困難になったときは、自宅を訪問して薬を届け、服薬の指導や確認をしてくれます。ずっと繋がってお付き合いできるのが「かかりつけ薬剤師」なのです。

薬剤師とは相性もあるので、サインした後に本当によかったのか悩んでしまうことがあるかもしれません。ずっと長いお付き合いをすることを考えて、「この人なら」と思える薬剤師を指名するといいでしょう。薬剤師も転勤や退職がありますが、そこは慎重になりすぎず、家や車を買うときとまでは言わないまでも、ショップで洋服のコーディネートをしてもらうときのように、人柄と相性をみて指名するのがいいでしょう。薬剤師も指名されたことで、より真剣に一歩踏み込んでサポートしてくれるはずです。

サプリメントから家族の健康・介護まで

薬剤師は、薬の処方や一般医薬品の販売しているというイメージがあるかもしれませんが、実際は健康に関してかなり幅広いことを聞けると思います。というのも、2013年6月に「薬局を地域の健康の情報拠点にする」ことが閣議決定されて、地域の医療・健康を担う薬剤師の役割が拡大しているからです。これを受けて、薬局の研修や大学の授業も範囲を広げ、薬剤師が栄養や介護用品の相談まで応えられるように取り組んでいます。

毎日の食生活、サプリメントや健康食品、家族の介護のことも、健康のことなら何でも薬剤師に聞いてみてください。もしその場でわからなくても、きっと調べて教えてくれるでしょう。そのために、行きつけ薬局があって、なじみの薬剤師がいるのは、とてもいいことです。健康管理、病気の予防、養生、通院、退院後まで継ぎ目なく、サポートとアドバイスを受けることができるでしょう。

井手口 直子 先生
帝京平成大学薬学部教授。薬学博士。
帝京大学薬学部薬学科卒業後、望星薬局勤務を経て、新医療教育企画(現・新医療総合研究所)を設立、現在は顧問を務める。日本大学薬学部専任講師を経て2010年より帝京平成大学准教授、2013年より現職。所属学会は、日本ファーマシューティカルコミュニケーション学会、日本地域薬局薬学会、日本カウンセリング学会ほか。近著に『基礎から学ぶ行動科学理論とその技法』(薬事日報社/共著)。
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