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2020.09.25

夜間トイレに起きるのは、腎臓機能低下のサイン?

夜間、何度もトイレに起きてしまう。年齢とともによくある悩みの一つかもしれません。しかし、歳のせいだから仕方ないと思っていると、身体の不調を見逃してしまう可能性もあります。夜間頻尿にはさまざまな要因があり、生活習慣病や腎機能障害などの病気が絡んでいることもあります。日本人に増え続けている慢性腎臓病のサインかもしれません。

夜中トイレに起きてしまうのはなぜ

起床から就寝までに1日8回以上トイレに行かなければならない状態を頻尿といいます。とくに夜寝てから朝起きるまでに1回以上トイレに起きなければならない状態を「夜間頻尿」といいます。夜間頻尿は高齢者に多く、夜間尿が多くつくられる多尿、膀胱容量の減少、睡眠障害が主な原因として考えられます。

このうち、膀胱容量の原因は、減少には老化だけでなく、女性に多い過活動膀胱、シニア男性に多い前立腺肥大、膀胱炎によるものもあります。多尿の原因には、糖尿病などの内分泌疾患、水分の摂り過ぎなどがあります。とくに夜間の尿量が多くなる原因としては、高血圧、心臓機能の低下、睡眠時無呼吸症候群などがあります。

腎機能の低下も考えられます。腎機能が低下すると、まず尿の濃縮能が障害されることが多く、尿量が増え、尿が透明となることもあります。通常、夜間は尿を濃縮することによりトイレに行く回数が減りますが、尿の濃縮機能が低下するため夜間にトイレに行く回数が増えます。

腎臓は体内のナトリウム量を調節する働きを担っています。腎臓の機能が低下すると、摂取したナトリウムが日中に排泄しきれず、体内に貯留するために夜間の血圧を高めてナトリウムを排泄しようとすることが夜間多尿の原因となります。

慢性腎臓病は人工透析予備軍

日本では末期腎不全による人工透析患者数が年々増加傾向にあり、2018年末時点で透析患者数は33万9841人で前年から4万468人増でした。人口100万人あたりの透析患者数は約2688人で、国民372.1人に1人が透析患者ということになります。(※)

透析患者を増やさないためには、腎不全の予備軍である慢性腎臓病の予防が不可欠です。慢性腎臓病(CKD=chronic kidney disease)とは、腎臓の障害が慢性的に続いている状態のことです。慢性腎臓病を患っている人は、成人の約8人に1人にあたる1300万人と推計され、新たな国民病ともいわれています。

腎臓はどんな臓器なのでしょうか? 腎臓は腰の上あたり、お腹の後ろ側に背骨をはさんで左右に1つずつあり、形は空豆に似ていて大きさは握りこぶしぐらいです。腎臓の最も大切な働きは、老廃物や余分な水分を含んだ血液をろ過してきれいにすることです。このほか、ホルモンの生産・分泌、ビタミンDの活性化、血圧のコントロールなどを行っています。

腎臓病は、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病にかかっていると発症しやすいといわれています。また、肥満、運動不足、飲みすぎ、喫煙、ストレスなども腎臓病の発病のリスクを高めます。腎臓病が進行すると、夜間の尿が増える、貧血、むくみ、息切れ、だるさといったさまざまな症状が現われます。

腎臓は「沈黙の臓器」といわれています。慢性腎臓病の初期は自覚症状がないため、気づいたときには相当進行していることも珍しくありません。慢性腎臓病は一般検診の尿検査で早期発見ができます。尿にタンパク質や血液が出ていないかを調べ、異常があれば医療機関で診察を受けましょう。

慢性腎臓病にもホモシステインが関与

慢性腎臓病にもホモシステインが大きく関わっていることは、調査データからも明らかです。健康な被験者を追跡調査したところ、92カ月(約8年)の間に1.05%の人が慢性腎臓疾患を発症し、その患者の大半が血中のホモシステイン値が高くなっていました(15μmol/L以上)。まだ仕組みははっきりとは解明されていませんが、腎臓病を発症するとホモシステイン値が高くなることは、さまざまなデータからわかっています。

慢性腎臓病は、たとえ軽症であって心筋梗塞、脳卒中などの重篤な病気の引き金となります。なぜなら、血中のホモシステイン値が高くなると動脈硬化を発症する可能性が高くなるからです。また、メタボリックシンドロームの症状である糖尿病、高血圧症、脂質異常症は、腎臓の機能を低下させる要因となっています。いずれにしても、毎日の食生活や運動習慣を改善して予防することが肝腎です。

栄養バランスのよい食事を基本に、血中のホモシステインの代謝を促す生活習慣を心がけましょう。ホモシステイン濃度が下がれば、腎臓病だけでなく、合併症である心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げることにもつながります。

<参考図書・URL>

『あなたの健康寿命は「葉酸」で延ばせる』(香川靖雄著・ワニブックス刊)

 

※データ出典 日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現状」

https://docs.jsdt.or.jp/overview/file/2018/pdf/01.pdf

 

一般社団法人 日本腎臓学会 ホームページ

https://www.jsn.or.jp/

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