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2020.09.25

目標1日400μg 日本人は葉酸が不足している

葉酸という栄養素を知っていますか。妊婦さんが摂るものと思っているかもしれませんが、性別や年齢に限らず、健やかな生活を送り歳を重ねていくために必要な栄養素です。近年は生活習慣病の発症予防との関連も研究されており、ミドルシニア世代も知っておきたい栄養素の一つです。しかし、その葉酸が日本人には不足しているかもしれません。

研究が進められている注目のビタミン

葉酸はビタミンB群の一種で、1941年に発見された比較的新しい栄養素です。ほうれん草の抽出物から見つかったため、ラテン語の「葉」を意味するfoliumと「酸」を意味するacidから「葉酸(folium acid)」と命名されました。「葉酸」と訳したのは、100歳を超えてなお現役医師として活躍された日野原重明先生です。

葉酸は他のビタミンよりも発見が遅かったこともあり、1990年代になるまであまり研究されていませんでした。しかし、妊娠中に十分な葉酸を摂取することが、胎児にとって非常に重要であることがわかり、さまざまな研究がスタートしたのです。

葉酸不足をチェックしてみよう

次の生活習慣に当てはまるものをチェックしてみてください。

□粗食で基本は一汁一菜

□菜食主義で肉、魚は食べない

□野菜が不足しがち

□朝食を抜くなど1日3食を摂れないことが多い

□野菜は大根、白菜、玉ねぎなど色の薄いものを好んで食べる

□65歳以上である

 

葉酸を摂るチャンスが少ない日本人

厚生労働省は成人の男女共に葉酸の推奨量を1日240μgとしています。しかし、これはあくまでも最小必要量です。実際は400μgが国際的な推奨量だと考えていいでしょう。

というのも、アメリカでは葉酸の重要性に気づき、1998年にすべての穀類への葉酸添加を法律で義務付けたところ、そのアメリカをはじめ、多くの国で葉酸の推奨量を400μgとしているのです。穀類への葉酸添加を義務付ける国も増え続け、2019年時点で82カ国にのぼります。

また、日本人の15%は葉酸が不足しやすい遺伝子型だといわれています。これは、ホモシステインを無害化するメチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)の遺伝子の配列によるもので、その中に摂取した葉酸をうまく利用できない遺伝子型(TT型)があるのです。

厚生労働省から発表された平成30年度の国民健康・栄養調査の結果によると、日本人の1日あたりの葉酸摂取量の平均は、成人の男性311μg、女性297μgでした。65~74歳は男性355μg、女性350μg、75歳以上は男性361μg、女性323μgでした。最小必要量には足りていても、400μgには届きません。(※)

葉酸を多く含んでいる食品は、ほうれん草、ブロッコリー、小松菜、春菊、ニラ、グリーンアスパラ、菜花、オクラ、モロヘイヤなどの緑の野菜です。また、海苔、枝豆、緑茶、鶏や豚のレバーにも多く含まれています。葉酸400μgは、ほうれん草およそ1束に相当します。

「野菜はしっかり食べている」という人も、実は大根、玉ねぎ、白菜、きゅうり、レタスなどの淡色野菜がメインで葉酸が摂れていないことがあります。また、日本人のかつての食生活に欠かせなかった海苔を食べたり、緑茶を茶葉から入れて飲む機会も減っています。葉酸をしっかり摂れているように見える高齢者ですが、消化機能や代謝機能が若い人にくらべて落ちているため栄養の吸収率が下がっているので、十分に摂れているとは限りません。

葉酸は、妊娠中の女性だけでなくミドルシニア世代にも必要な栄養素です。葉酸1日400μgを目標に1日3食、栄養バランスのよい食事を心がけたいものです。

<参考図書・URL>

 

『あなたの健康寿命は「葉酸」で延ばせる』(香川靖雄著・ワニブックス刊)

 

※データ出典:厚生労働省 平成30年国民健康・栄養調査報告

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/h30-houkoku_00001.html

 

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