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2020.09.25

太りにくい食生活には朝昼夕の黄金比があった

食べ過ぎはメタボリックシンドローム(メタボ)の主な原因の一つです。しかし、なかには、たいして食べていないのに太ってきたという人もいるのではないでしょうか。問題はその食事内容にあります。一日の摂取カロリーが同じでも、脂肪がつきにくい3食のバランスがあるのです。

基礎代謝は下がっています

食事の量は減ったものの、若い頃のように焼肉や油炒めなど高脂質な料理を好んで食べていませんか。私たちは年齢とともに活動量が減り、身体の基礎代謝も低下していることを忘れてはいけません。

基礎代謝とは何もしなくても使われるエネルギーのことです。基礎代謝が落ちれば燃やされるエネルギーの量も減るので、残った栄養素は脂肪に変わってしまいます。年齢とともに肉より魚、脂っこいものよりもさっぱりしたものが食べたくなりますが、それは身体が若い頃よりエネルギーを必要としなくなっているからです。それでも、好きなものは以前と同じように食べてしまいます。「それほど食べていないのに太ってきた」と思うなら、食べる量を減らすか、運動をしたほうがよさそうです。

朝食を抜いている人も、食べる量が少ないのに太りやすい傾向があります。若い頃から朝食を抜いていた人は、すでに太りやすい体質になっているかもしれません。朝食を摂らない生活が当たり前になると、体を活性化させるために使う栄養素が不足するため、代謝を下げて消費エネルギーを減らすように遺伝子が調整するようになります。その結果、前日の昼食や夕食で体内に取り入れた栄養素まで、エネルギーとして使わずに、優先的に脂肪に変えるようになってしまうのです。

朝食で消費エネルギー2割増

身体に必要な栄養素を取り込むためには1日3食の習慣が欠かせません。しかし、朝食抜き(欠食率)は20代の男女で高く、40~50代の男性でも過去10年で増加傾向にあり、平成29年時点で40~49歳の4人に1人が朝食を食べていないことがわかっています。(※)

太らないようにするには、朝食を摂ることが大切ですが、何を食べてもいいというわけではありません。たとえば、甘い菓子パンにコーヒーだけでは、体内時計がリセットされません。炭水化物だけの朝食は、何も食べないのと同じことです。

食事内容は集中力にも関係することも、実験で明らかになっています。

「炭水化物の主食、タンパク質の主菜、ビタミン・ミネラルなどの副菜、味噌汁やスープなどのバランスのとれた朝食」「おにぎりのみの朝食」「何も食べない」の3パターンに分けて暗算作業をした結果、「バランスのとれた朝食」を食べた人は暗算力が上がっていたのに対して「おにぎりのみ」「何も食べない」という人は、いずれも暗算力が下がっていました。これで、炭水化物のおにぎりだけでは、朝食を食べたといえないことがわかります。

朝日を浴び、栄養バランスのとれた朝食を食べて、体内時計が正常にリセットされた日は、そうでない日とくらべて消費エネルギーが2割も高くなることがわかっています。

3食のカロリーは3:3:4

1日3食のカロリーは、朝3:昼3:夕4が理想的です。これは、日本人のサラリーマンの健康意識調査と女子栄養大学の栄養クリニックでのメタボ治療に基づく黄金比です。そもそも、朝食を摂っていない場合は、食事バランスが0:4:6となっていると思われます。まず、朝食をしっかり摂って配分を整えましょう。

夜はエネルギーをあまり消費しないはずですが、夕食の割合が多くなっている理由は「成長ホルモン」の存在です。成長ホルモンは就寝中に分泌され、日中の活動で疲労した骨や筋肉を修復させる働きがあります。成長ホルモンがきちんと分泌されるためには、夕食をしっかり摂る必要があるのです。

この食事バランスは18時までに夕食を摂ることを前提としています。寝るまでに摂取した栄養素をエネルギーに変える時間が十分にあるからです。夜遅くの夕食は太る原因になってしまうため遅くとも20時までに夕食を終えるのが理想です。

しかし、まだ仕事をしている時間帯という人もいるでしょう。その場合は、21時以降にまとめて夕食を摂るのではなく、最もエネルギーとして使われやすい炭水化物をおにぎりなどの形で18時までに食べ、おかずにあたるものを21時以降に食べる「分食」がおすすめです。

※データ出典:平成29年国民健康・栄養調査(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000351576.pdf

 

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『食べる量が少ないのに太るのはなぜか』(香川靖雄著・幻冬舎刊)

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