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2020.09.25

コレステロールと認知症の深い関係

健康診断で気になる項目の一つがコレステロール値です。血液中のコレステロールは「動脈硬化」を引き起こす原因になり、さらに進むと脳内の血管も硬化して「認知症」のリスクが高まります。加齢により血管の内膜にコレステロールが蓄積しやすくなりますが、それは20~30歳ごろから始まっています。健康に重大な問題を引き起こす予兆ともいえるコレステロール値を改善するには、どうしたらいいのでしょうか。

コレステロールには悪玉と善玉がある

コレステロールは体内に存在する脂質の一種です。健康によくないものに思われがちですが、細胞膜・ホルモン・胆汁酸を作る材料として体に必要な物質です。コレステロールのうち2~3割が食事から取り入れられ、7~8割は糖や脂肪を使って主に肝臓で合成されます。

コレステロールには、善玉(HDL)と悪玉(LDL)がありますが、これは役割の違いです。善玉のHDLコレステロールは、血管にある余分なコレステロールを肝臓に運ぶ「回収」の役割があります。一方、悪玉のLDLコレステロールには肝臓のコレステロールを全身に運ぶ役割があります。この二つのコレステロールのバランスが崩れて、血液中のコレステロールが必要以上に増えると動脈の内壁に蓄積され、血液の通り道がふさがれます。さらに、中性脂肪が加わると、LDLコレステロールの増加を加速させることになります。

LDLコレステロール値や中性脂肪が基準より高い、またはHDLコレステロール値が基準より低い状態を「脂質異常症」といいます。脂質異常症になると動脈硬化のリスクが高くなるので要注意です。

 

見過ごすと本当に怖い動脈硬化

動脈硬化は、脳卒中や脳梗塞を引き起こす原因になります。しかし、動脈硬化とは一体どういう状態をいうのか、よくわかっていない人が多いかもしれません。ここで一度、まとめてみましょう。

血液は、糖分や酸素など、生きるうえで必要なものを運び、その一方で体内でできた老廃物や二酸化炭素を運び出す役目を担っています。この血液の通り道である血管で、壁の一番内側で血液に触れているのが「内膜」です。

年齢を重ねるにつれて血管壁の内膜にコレステロールが蓄積し、次第に脂肪分が沈着していきます。この現象は20~30歳からすでに始まっていて、50~60歳になると壁が厚く硬くなり、血液の流れるスペースが狭くなります。その結果、血流と内膜の間に負担が生じて、内皮細胞が壊れて血の塊(血栓)ができることがあります。これが動脈で起こることが、いわゆる「動脈硬化」です。

動脈硬化になると、血液の流れが悪くなったり、できた血栓が血流によって運ばれて脳の血管を詰まらせることがあります。これが、脳梗塞の原因です。よく似た疾患である脳卒中は、正式には脳血管疾病のことです。脳卒中には、脳の動脈が詰まる脳梗塞、脳の動脈が破れる脳出血、くも膜下出血があります。脳卒中は日本人の死因の第3位。要介護状態の引き金にもなります。

血中コレステロールの蓄積によって起こる動脈硬化は、認知症の発症にも関わっています。日本では高齢者の認知症の約10%を占め、特に男性に多い「脳血管性認知症」は、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血による意識障害や片麻痺などの症状が発端となって現れることがあります。脳の委縮によって起こるアルツハイマー型認知症とは異なり、脳血管性認知症は原因がわかっています。危険因子である高血圧、糖尿病、脂質異常症などの予防が、発症の回避につながります。

日本人に合った栄養バランスを見直そう

動脈硬化はどうしたら防げるのでしょうか。動脈硬化の原因として、近年、注目されているのが「ホモシステイン」です。「悪玉アミノ酸」と呼ばれるホモシステインは、代謝の過程で活性酸素を生じ、血管の状態を悪くして動脈硬化を引き起こすと考えられています。このホモシステインの代謝を促す働きのある栄養素を摂取することが大切です。

しかし、日本人の15%は、ホモシステインの代謝を促す栄養素の一部が不足しやすい遺伝子型です。他の遺伝子型にくらべてホモシステイン濃度が高くなる傾向にあり、動脈硬化になりやすく、脳梗塞になるリスクも高くなります。そのような遺伝子型であるとわかっている人はもちろん、まだ遺伝子検査をしていない人も、普段からバランスよく栄養素を摂るに越したことはありません。コレステロール値が高くならないように脂の摂りすぎに注意して、海藻、野菜、果物類を含んだバランスの食事を心がけましょう。

<参考図書・URL>

『あなたの健康寿命は「葉酸」で延ばせる』(香川靖雄著・ワニブックス刊)

厚生労働省 e-ヘルスネット コレステロール 

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-012.html

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