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2020.09.25

健康寿命を左右する「悪玉アミノ酸」の正体とは?

動脈硬化、高血圧、認知症、骨そしょう症など、加齢に伴うさまざまな病気を引き起こす原因となる物質が「ホモシステイン」です。体内で代謝されれば有用な物質になりますが、代謝されずに血中に増えすぎると一転して「悪玉」に変わります。健康寿命を脅かすホモシステインをうまく代謝するにはどうすればいいのでしょうか。

血中ホモシステイン値に要注意

タンパク質は、筋肉、臓器、髪の毛、爪などを構成する成分で、体をつくるために欠かせない栄養素です。タンパク質は20種類のアミノ酸で構成されていますが、このうちの9種類は体内で合成することができない「必須アミノ酸」で、食事から摂らなければなりません。

必須アミノ酸の一つにメチオニンがあります。メチオニンは代謝される過程でホモシステインというアミノ酸になります。このホモシステインが問題です。ホモシステインは、体内のサビ(酸化)を抑えるグルタチオン、肝臓の機能を高めたり高血圧の予防などに役立つタウリンといった有用な物質の材料になります。しかし、代謝がうまくいかないとホモシステインが増えすぎて、さまざまな病気を引き起こすことがわかってきました。

その一つが、動脈硬化です。ホモシステインは、血液中で増えすぎると、血管の内側の細胞を傷つけて動脈硬化の危険率を高めます。動脈硬化は、心筋梗塞や脳卒中、脳血管性認知症を引き起こす原因になるため、代謝されずに残ったホモシステインは「悪玉アミノ酸」ということができます。

老化の原因「活性酸素」の発生にも関与

ホモシステインは、老化の原因物質として知られる活性酸素の発生にも関与しています。活性酸素とは、大気中の酸素よりも活性化された酸素と関連分子で、酸素原子を含む反応性の高い化合物の総称です。シミやシワの原因として知っている方も多いのではないでしょうか。

酸素は細胞伝達物質や免疫機能として働く一方で、過剰に産生されると細胞を傷つけ、老化、がん、生活習慣病などをもたらす要因となります。ホモシステインは、血管や脳、骨において活性酸素を発生させ、それが脳の委縮、骨粗しょう症、動脈硬化などの原因になるのではないかと考えられています。

活性酸素が産生されても、私たちが体内の恒常性を維持できるのは、抗酸化防御機構が備えられているからです。抗酸化防御機構は抗酸化酵素で構成され、活性酸素の産生を抑制したり、生じたダメージの修復・再生を促す働きをしています。野菜や果物から摂取するビタミン類、他にはカロテノイド類、カテキン類などの抗酸化物質にも同様の働きがあります。

酸化ストレスを引き起こす原因として、紫外線、放射線、大気汚染、たばこ、薬剤、酸化された物質の摂取などが考えられます。また、過度な運動やストレスも活性酸素の産生を促し、酸化ストレスを引き起こす要因となります。日ごろから、バランスの取れた食事、適度な運動習慣、十分な睡眠を心がけ、抗酸化防御機構を良好に保つことは、酸化ストレスを防止するためにも重要です。

ホモシステイン代謝を促す栄養素

近年の研究で、葉酸にホモシステインの代謝を促す働きがあることが明らかになっています。私たちが食べたものに含まれるタンパク質は、体内でアミノ酸に分解されます。アミノ酸は肝臓に運ばれて分解されるか別の物質につくり替えられます。必須アミノ酸のメチオニンの場合は、代謝の過程でホモシステインが発生します。このときに、代謝を促す栄養素が十分にあれば、ホモシステインはそのまま血中へ出されず、代謝によって再びリサイクルされます。

しかし、必要な栄養素が足りずに代謝がうまくいかなければ、ホモシステインはメチオニンにリサイクルされることなく余ってしまいます。余ったメチオニンが血中へと流れ出ると、血中のホモシステイン濃度が上昇して、やがて動脈硬化、認知症、骨粗しょう症といった病気を引き起こすのです。

ホモシステインの代謝を促すには栄養のバランスが大切です。ビタミン類をはじめとした様々な栄養素が、お互いに助け合ってホモシステインをメチオニンにリサイクルします。また、ホモシステインを抗酸化物質のシステインに変える働きもあります。様々な栄養素をとるために、緑黄色野菜、魚、肉をバランスよく食べるようにしましょう。

<参考図書・URL>

『あなたの健康寿命は「葉酸」で延ばせる』(香川靖雄著・ワニブックス刊)

厚生労働省 e-ヘルスネット 活性酸素

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-041.html

厚生労働省 e-ヘルスネット 活性酸素と酸化ストレス

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html

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