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2020.04.23更新

ダイエットに朗報、太りにくい食べ方「時間栄養学」とは?

食べる量を減らしているのに太ってしまう経験はありませんか? ダイエットを成功させるには、1日の栄養素や摂取カロリーをコントロールするだけでは不十分。実は、同じ食事内容でも、食べる時間、食べる順番、食べる速さで吸収率や代謝が違ってくるのです。いつ食べればいいのか、「時間栄養学」を知っていればダイエットが変わります。

朝食抜きが太るのはなぜ?

朝食を抜くと太るという話をよく聞きます。実際に「朝食を抜いている人は食べている人とくらべて肥満度が5倍になる」という研究データもあります(マー・ヤンシェン教授/マサチューセッツ医大)。食事で摂取した栄養素を体内でエネルギーとして消費することを代謝といい、栄養素を分解する過程で熱が発生します。この熱量が大きいほど栄養素が多く消費され、やせやすいといえます。

 

体が発する熱量の大きさは、同じ食事内容でも食べる時間によって異なります。朝食では夜食の4倍もの熱量を発することがわかっています。起きたばかりの体を活性化させるためには大量のエネルギーを消費する必要があり、そこに朝食で摂取した栄養素が多く使われます。一方、体が休息の準備に入る夜は、日中ほどエネルギーは消費されません。つまり、夜遅くに摂取した栄養素の大半が、使われることなく脂肪として貯蔵されます。

 

朝食抜きの生活が習慣化すると、体の活性化に使える栄養素が不足するため、体が自ら代謝を下げて消費エネルギーを減らすようになります。すると、前日の昼食や夕食で体内に取り入れた栄養素を、エネルギーに使うのではなく、優先的に脂肪に変えるようになるので、太りやすい体になってしまうのです。

「時間栄養学」で食事リズムを解明

朝食を抜くと太りやすいのは、時計遺伝子が大きく影響しています。時計遺伝子とは、人間の体の中に備わっている時間計測の仕組みのこと。「体内時計」を司っているといってもいいでしょう。人間は、朝目覚めて、昼に活動し、夜眠るという生活サイクルを基本としています。このサイクルに合わせて行動できるようにホルモンの増減を行っているのが時計遺伝子です。時計遺伝子はタンパク質の一種で、脳をはじめとする身体のすべての器官、心臓、肝臓、肺、筋肉などに存在し、現在までに20種類以上が確認されています。この時計遺伝子が栄養の摂取にも関係していることがわかり、栄養学に応用した「時間栄養学」の研究が行われるようになりました。

 

時計遺伝子には、「中枢時計遺伝子」と「末梢時計遺伝子」の2種類があります。中枢時計遺伝子は脳内に存在していて、体全体の細胞がしっかり機能するようにコントロールします。25時間の概日リズムで動いていますが、朝日を浴びることで24時間にリセットされます。末梢時計遺伝子は、心臓や肝臓、筋肉などの全身の細胞内に存在し、各細胞を独自にコントロールしているため、朝食を食べることで24時間にリセットします。

 

中枢時計遺伝子と末梢時計遺伝子を、同じ周期で動かして体内の細胞を活性化させるには、起床後2時間以内に朝食を食べることが必要です。朝日を浴びてホルモンや酵素が分泌されても、栄養素となる食べ物が体内に入ってこないと活用されません。身体の代謝のバランスが乱れて、太りやすくなってしまいます。

 

食事の内容も大切です。食事と集中力の関係を調べた実験では、「炭水化物の主食、タンパク質の主菜、ビタミン・ミネラルなどの副菜、味噌汁やスープなどのバランスのとれた朝食」を食べた人は暗算力が上がっているのに対して、「おにぎりだけの朝食」「何もたべない」という人は下がっていました。また、バランスのよい朝食をたべて体内時計が正常にリセットされた日は、そうでない日にくらべて、消費エネルギーが2割高いこともわかっています。ダイエットをするなら朝食をしっかり食べましょう。

遅い夕食は脂肪に変えない「分食」で

時間栄養学のこれまでの研究で、食べても太らない時間帯があることが明らかになっています。時計遺伝子のひとつビーマルワンには、脂肪を合成する働きがあり、午前10時から午後4時までの時間帯はその作用が低下することがわかりました。唐揚げや焼き肉などの脂肪分の多い料理は、夕食ではなく昼食に食べるほうが太らずにすみます。

 

午後4時を過ぎるとビーマルワンの働きが活発になるので、カロリーの高いものはがまんしましょう。午後6時までに夕食を済ませるのが理想ですが、会社勤めをしていたらそうはいきません。できるだけ午後8時までに夕食をとり、遅くなるときは低カロリーの食事を心がけましょう。

 

ビーマルワンの活動が最もさかんになる夜8時から深夜2時の間は、太りやすい時間帯です。夕食が21時以降になる場合は、18時までに米などの主食を食べ、おかずを21時以降に食べることで、炭水化物を脂肪に変えずエネルギーとして消費する「分食」という食べ方もあります。

 

午前10時から午後4時はビーマルワンの活動が低下する時間帯なので、昼食は自由度の高い食事が可能です。ただし、エネルギーとして使いきれないと脂肪になってしまうので、食べ過ぎには注意しましょう。

 

<参考図書>

幻冬舎新書『食べる量が少ないのに太るのはなぜか』(香川靖雄著・幻冬舎刊)

『あなたの健康寿命は「葉酸」で延ばせる』(香川靖雄著・ワニブックス刊)

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